ラグビー選手にとって、頻繁に起こる怪我について、その対処方法とリハビリ・スケジュール等について、シリーズでお届けします。
■Vol.10 マウスガードをはめよう
「スポーツに怪我は付きもの」とよく耳にしますが、私たちの考えは違います。「スポーツによる怪我は防ぐものです。」正しい知識と準備によって怪我のリスクは軽減できるのです。
とりわけ、ルールで決められた範囲のプロテクターを正しく装着し身体を守ることは怪我の軽減に直接つながります。
今回はマウスガードの効果、有用性について書きたいと思います。
スポーツ店で市販しているお湯で形を変えて自分の歯形にあわせる物から歯科医院で歯形をとり、自分専用にカスタムメイドしてもらう物までいろいろなマウスガードがありますが、私たちは歯科医院で歯形をとり自分専用のマウスガード作ってもらうことをお勧めします。
なぜなら、スポーツ店で市販しているマウスガードは確かにリーズナブルですが、十分なフィット感が得られず、絶えず噛み締めていないと落ちてきてしまい、呼吸や話すことに影響を及ぼしてしまいます。また、専門家ではない選手自信が調節するため形態などが不良で外傷予防にはさほど期待できないだけでなく、噛み合わせに不具合が生じ顎の障害を引き起こす可能性があります。したがって、私たちは少々値ははりますが(1万円強ぐらい)、歯科医師に噛み合わせなど個人の適合性にあわせて作ってもらうカスタムメイドのマウスガードをお勧めします。
前歯が折れてしまった場合、保険が利かないことが多々ありものすごくお金がかかってしまうことがあります。マウスガードをしていれば、前歯は折れなかったかもしれません。そう考えると1万円強という値段は決して高くはないと思います。また、不幸にも外傷などが起きてしまった場合、それがプレー中にフラッシュバックとして残ったりすると、その後のプレーに躊躇が生まれたりして支障をきたす場合があります。
マウスガードの効果 |
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・脳震盪の予防(脳神経細胞の損傷予防) 歯を噛み締めることよって頚の筋肉が緊張し、頭部を安定させ頭部外傷の発生率を軽減させます。 ・口や口周囲の柔らかい組織の裂創予防 ・歯の外傷予防(脱臼、折れるなど) 歯を覆って守っているため、これらの外傷を予防することが可能です。 ・顎の骨折予防 直接に当たる場合は防げませんが、間接的な外力を分散したりする可能性はあります。 ・怪我の発生率の減少 マウスガード装着するようになると怪我の発生率が減ると言われています。 ・心理的安心感が得られる マウスガードを装着している安心感から、思い切ったプレイが可能になります。 ・パフォーマンスの向上 噛み締めることで人間は大きな力を発揮できるようになると言われています。現ダイエーホークス監督王貞治氏は「打つ際に奥歯を思いっきり噛み締めるため、奥歯がボロボロになった」と言っています。また、「奥歯がボロボロにならなかったらもう少しホームランを打てた」とも言っています。 |
マウスガードの手入れの仕方は? |
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使用後は水かぬるま湯で唾液や雑菌を洗い落とします。柔らかい歯ブラシで洗えばなお良いです。その後は保管用のケースに入れて保管してください。 |
どうしたらカスタムメイドの自分専用のマウスガードを作れるか? |
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まずは、かかりつけの歯科医師に相談してください。歯科医師の間でもネットワークが出来ていて、マウスガードが何処で作れるか情報を持っているはずです。 |
必要事項:「マウスガード製作希望」と必ず明記 また、以下のホームページも参照してください。http://www.mdpc.jp/topics/t_mouth.html |
Dr.Tのワンポイントアドバイス | |
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スポーツはかっこよくやるものです。マウスガードは好きな色を選ぶことができます。チームカラーに合わせるなど口元もお洒落に、ファッショナブルでいきましょう。 今回のテーマについては、Dr.Tの範疇を越える部分もあり、日本大学歯学部スポーツ歯科の月村直樹先生に監修いただきました。月村先生、ご協力ありがとうございました。 |
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