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Rugby Familiarization 〜ルールと雑学でラグビーに親しむ〜

やったことのない人にはわかりづらいラグビーというゲームついて、ルール的な側面からのわかりやすい解説をコラム風にシリーズでお届けします。

■Vol.03 「ノックオンとスローフォワード」

ノックオンとスローフォワードは同じ反則!?

 今回は 『ノックオン』 と 『スローフォワード』 について解説します。

 実はこの 『ノックオン』 と 『スローフォワード』 、考え方としてはまったく同じ反則なのです。「いきなり何をわけのわからないことを言い出すんだ」とおっしゃる方もいるかもしれませんね。「同じ反則だったら違う名前がつくわけがないだろう」。そう、ですから「考え方としては」ということなのです。

 ここで、前回紹介した 『ボールを前に運ぶ方法の大原則』 を思い出してください。

■ボールを持って(走って)運ぶ
■ボールを蹴って運ぶ

 つまり 『ボールを手で投げたりして前に運んではダメ(=後ろに投げるのはOK)』 というものでした。「どうして手でボールを前に運んじゃダメなんだ」ということは考えないことにしましょう。それを考えた挙げ句、新しいフットボールを作ってしまったのがアメリカン・フットボールだったりするわけですが、それはともかく、ラグビーというのは、ボールを蹴るか、持って走るかして、前に運ぶ競技なのです。投げる場合は、後ろへ後ろへと投げなくてはいけない。だから、前にボールを投げる行為は反則になる。それが 『スローフォワード』 です。読んで字のごとく、 『前へ投げる』 反則というわけです。

 では、 『ノックオン』 とはどういう反則なのでしょうか。これは、 『ボールを前に落とす』 反則です。なかには、 『ボールを落とす』 ことがノックオンだと思っている人もいるようですが、そうではありません。真下に落としたり、後ろにそらしたりした場合は、反則ではありません。つまり、 『スローフォワード』 も 『ノックオン』 も、手でボールを前に運ぶ行為が反則になるわけですね。

 そういう意味で、「考え方としてはまったく同じ」なのです。敵がキックしたボールを真下に落として、そのボールが後ろに跳ねた場合、プレーを続けても反則にはならないんですね。たまにこういうシーンで「なんでノックオンじゃないんだ!」と怒っている人がいたりしますが、これでわかっていただけるのではないかと思います。

ノックオン・スローフォワードが勝敗を左右することもある

 さて、この 『ノックオン』  『スローフォワード』 ですが、前回紹介した 『重い反則』  『軽い反則』 で言いますと、どちらも 『軽い反則』 の方に分類されます。軽い反則は、反則が起こった地点での相手ボールのスクラムで試合を再開することになります。

 軽い反則と言うと、試合への影響が少ないと思う人もいるかもしれませんが、残り時間が少なく、得点が接近したような場面では、これらの反則が勝敗そのものを左右することもけっして少なくありません。

 特に多いのが、決定的なトライチャンスでのノックオンです。人数も余っている。そのままボールをつなげば、確実にトライになる。あるいは、トップスピードで走り込んできて、抜ければトライになるといった局面でのノックオンはまさに 『痛恨』 の一言でしょう。

 スローフォワードという反則は、反則それ自体があまり多くはないのですが、それでも勝敗を決した 『痛恨』 のスローフォワードというものもありました。

 なかでも 『幻のトライ』 などと言われ、伝説ともなっているプレーがあります。1985年1月6日、国立競技場、第21回大学選手権決勝、同志社大学対慶應義塾大学。10−6で同志社リードの後半36分、慶應ボールのスクラム。SO浅田からCTB松永へ飛ばしパス、さらにライン参加のFB村井がインゴールへ飛び込みます。誰もが同点トライ(当時はトライの得点は4点)と思ったのですが、レフェリーは最後のパスをスローフォワードと判定。トライは認められず、同志社がそのまま逃げ切り、大学選手権3連覇を果たしました。

 このときの同志社のメンバーを見ると、大八木淳史、土田雅人、平尾誠二、綾城高志ら、錚々たる名選手たちが名を連ねているのですが、それはともかく、軽い反則といえどもそれが試合の勝敗を決めるプレーになることもあるという好例がここにあります。

 慶應にとっても、敵の堅いディフェンスを突破するには、できるだけ前で、できるだけ速いスピードでパスを受ける必要があり、本当にギリギリのパスだったのです。

 ひとつのプレーもおろそかにはできない。多くの選手がそういった局面で、まさにギリギリのプレーをしているのです。

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