ラグビーに興味があるけどあまり良く知らない、あるいはラグビーを全く知らない人に向けて、これだけは知っておきたいラグビー情報をシリーズでお届けします。
やったことのない人にはわかりづらいラグビーというゲームついて、ルール的な側面からのわかりやすい解説をコラム風にシリーズでお届けします。
■Vol.04 「ノットストレート」 公平にボールを取り合うのがラグビーの原則 今回は 『ノットストレート』 についてお話します。 この反則はラインアウトやスクラムの際に起こるものですから、まずはラインアウトとスクラムについて簡単に解説しておきましょう。 ラインアウトというのは、ボールがタッチラインから出たときのリスタート(試合再開)の方法です。1mの間隔をおいて敵味方が1列ずつ並び、その真ん中に投げ入れられたボールを取り合うというのが、ラインアウトです。 サッカーで言えば、 『スローイン』 にあたります。バスケットボールやハンドボールも、ボールがタッチライン(サイドライン)を割ったときには 『スローイン』 でのリスタートとなります。 『スローイン』 も 『ラインアウト』 も「タッチライン(サイドライン)より外にボールが出た場合、ボールを出してしまったチーム(出る前に最後にボールに触れたチーム)と逆のチームの選手がボールをなかに投げ入れる」という点では同じです。 しかし、これらの球技のスローインとラグビーのラインアウトとが決定的に違う点は、スローインは味方の選手を狙って投げることができますが、ラインアウトは敵味方が並んだ列の真ん中に投げ入れなくてはなりません。ここは 『ノットストレート』 という反則につながる重要な点ですから、覚えておいてください。 さて、スクラムについても簡単に触れておきましょう。スクラムはまさにラグビーの象徴的存在ですが、ラグビー初心者のなかには「あれはいったいなんなんだ」と不思議がる人も少なくないようです。 ここで前々回で触れた大原則を思い出してください。 ■反則には重い反則と軽い反則とがある というものがありました。軽い反則があってゲームが止まったあと、反則があった地点で反則をしたチームと逆のチームの選手によってスクラムの真ん中にボールが投げ入れられます。つまり、反則があったあとのリスタートの方法のひとつなのです。 反則がなくても、密集のなかでボールが出にくい状態になり、ゲームが進まないような状況になったときにも、レフェリーの判断で試合を一時ストップし、スクラムでのリスタートになることもあります。これは、実際のゲームもよく見るシーンです。 では、本題の 『ノットストレート』 の話に戻りましょう。いま見てきたとおり、ラインアウトでもスクラムでも、ボールを投げ入れる際は、敵味方の真ん中に投げなくてはなりません。真ん中に投げなかった場合に、 『ノットストレート』 という反則になるのです。直訳のとおり、 『まっすぐでない』 ということです。 ここで、サッカーその他のスローインとラグビーのラインアウト(あるいは考え方はスクラムにも通じるのですが)の違いについての話をしましょう。 先ほど述べた大原則には、付随したもうひとつの大原則がありました。 ■重い反則以外でプレーが止まったあとのリスタートは、できるだけ公平な条件でボールを取り合う というものです。この大原則に則ったのが、ラインアウトとスクラムなのです。つまり、ラインアウトもスクラムも、公平に近い条件でボールを取り合うプレーなのです。 「そんなことはない。ラインアウトもスクラムもボールを入れる方が圧倒的に有利だ」 こう主張する人も多いかもしれません。最近はその傾向が強いことは事実ですが、それは(別の項で詳述しますが)ここ最近のルール改正の多くが攻撃側が有利になるようにという意図でなされているためで、もともとの考え方は 『公平に近い条件下でボールを取り合う』 というのが大原則だったのです。 昔の(ジャンパーを支える行為が認められる以前の)ラインアウトを知っている人なら納得してもらえるでしょう。ラインアウトはけっしてボールを入れる側が圧倒的に有利になるものではありませんでした。だからこそ、タッチキックはとても有効なものだったのですが、最近はキック全般が敵にボールを渡してしまう行為になってしまいました。簡単にボールが出るように見えるスクラムも、実際はボールの取り合いです。スクラムハーフとフッカーとの呼吸やタイミングが合わなければ、たちまちボールを取られてしまうのです。 この 『できるだけ公平な条件』 に違反する反則が 『ノットストレート』 です。自陣の側だけでなく、敵陣側に逸れた場合にも適用されます(敵側が有利になればアドバンテージルールにより、プレーは続行されます)。 『軽い反則』 に分類され、相手ボールのスクラムによってリスタートとなる 『ノットストレート』 ですが、実はラグビーの 『平等』 『公平』 という精神に違反するという意味ではとても大きな反則なのです。 |
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