ラグビーに興味があるけどあまり良く知らない、あるいはラグビーを全く知らない人に向けて、これだけは知っておきたいラグビー情報をシリーズでお届けします。
やったことのない人にはわかりづらいラグビーというゲームついて、ルール的な側面からのわかりやすい解説をコラム風にシリーズでお届けします。
■Vol.05 「オフサイドその1(オフサイドとはなにか)」 オフサイドってどんな反則? これから数回に分けて、特に難しいルールと言われている“オフサイド”について解説していきます。 オフサイドという反則はサッカーにもあり、サッカーファンのなかにも「オフサイドは難しい」と思っている人が多いようです。ですが、サッカーのオフサイドは実は非常に分かりやすいものです。ラグビーのオフサイドには条件の違いでいろいろなケースがあるため、サッカーに比べるとかなり複雑と言えます。ですが、大原則といくつかの条件を覚えておけば、かなりわかるようになると思います。ゲーム観戦時にレフェリーがオフサイドの笛を吹いたとき、どの選手のどんなプレーが反則だったのかはわからなくても(これがわかるような人ならこのコーナーは不要かもしれません)、だいたいどういうことが起こったのかがわかるようになり、ゲームをより深く見られるようになると思います。 オフサイドを説明する際よく使われる言葉に“先回りの禁止”“待ち伏せの禁止”というものがあります。「先回りして敵陣ゴール前で待ち伏せしておいて、その選手めがけて蹴られたボールをもらってゴール(トライ)するというのは、ゲームがつまらなくなる上に紳士的でない。とても卑怯なプレーだ」というように説明されます。先回りしておいて敵の頭越しにボールをもらおうというのは卑怯なプレーだから禁止するというわけです。 この説明はサッカーのオフサイドには非常に有効でわかりやすいものです。自分の前にゴールキーパー以外の敵がいないという状態でボールをもらおうとするとオフサイドの反則になります。これは先回りという説明でよくわかると思います。 ところが、ラグビーの場合、例えばモールやラックに前や横から参加するとオフサイドになるのですが、これを先回りした紳士的でない卑怯なプレーだと言われることには少なからぬ抵抗を感じます。ラグビーのオフサイドを先回り禁止の反則ととらえると、ただでさえ難しいと思われているものがいっそう難しく感じられてしまうのではないでしょうか。 では、ラグビーのオフサイドを理解するには、どう考えたらいいのでしょう。今回も、前に紹介したラグビーの大原則を思い出してください。 ■ラグビーでは状況によって、プレーをしてもいい人と、してはいけない人がいる ■ボールより前(敵陣側)にいる人はプレーをしてはいけない この大原則と、ラグビーを陣取りゲームと考えることでかなりの部分、理解できるようになります。陣取りゲームというのは、ボールのある位置にタッチラインと平行に線があると仮定して、その線より手前が自陣、奥が敵陣と考えるのです。ボールを前に運んで自陣(領土)を増やし、敵の領土を完全に占領すると得点になるというわけです。 これも大原則の項で述べたことの繰り返しになりますが、敵陣にいるプレーヤーはいわば敵に捕まっている捕虜のようなものなので、一度自陣に逃げ戻らないと戦いに参加できません。この戦いに参加できないプレーヤー(=敵の捕虜になっているプレーヤー)が“オフサイドプレーヤー”なのです。 いま、大原則には、 ■ボールより前(敵陣側)にいる人はプレーをしてはいけない とありますが、細かく言いますと、実はこの陣地の境界線は必ずしもボールそのものの位置とは限りません。ここがオフサイドが難しいと言われるゆえんです(同時にラグビーの魅力のひとつと言えます)。スクラム、モール、ラック、ラインアウト、タックル、キックなど、いろいろな局面で境界線が変わってくるのです。例えばモールであれば、ボールそのものの位置ではなく、モールに参加している一番後ろの選手の足の位置に境界線が引かれます。 「なんだ、『大原則は揺らがない』なんて言っていたけど、けっこう揺らぐじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、これはけっして大原則が揺らいでいるわけではありません。個別に詳述していきますが、「ボールの位置」=「ボールを持っている人の位置」と考えることで理解ができます。そして、スクラムやラックやモールのように複数の人が一かたまりでボールを運んでいる(取り合っている)ケースでは、その一かたまりを一人の人と考えて境界線を引くことになるのです。 ややこしくなってきましたか? では、概論はこのくらいにして、次回からはこれらのなかの主なケースをいくつか見ていきます。まずは、境界線(=オフサイドライン)がどのように決まり、どう動いていくのかについて見てみることにします。 |
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