ラグビーに興味があるけどあまり良く知らない、あるいはラグビーを全く知らない人に向けて、これだけは知っておきたいラグビー情報をシリーズでお届けします。
やったことのない人にはわかりづらいラグビーというゲームついて、ルール的な側面からのわかりやすい解説をコラム風にシリーズでお届けします。
■Vol.07 「オフサイドその3(境界線が太くなる!?)」 密集でのオフサイドラインの考え方 前回、前々回に続いてオフサイドについて見ていきますが、今回は境界線(=オフサイドライン)が太くなる(!?)という話です。ルールブック的にはオフサイドラインが太くなるという解釈はないのですが、線が太くなると考えると『密集』でのオフサイドがとてもわかりやすくなります(数学的にも『線』には太さはないはずですが、イメージはわかってもらえますよね)。 いま、何気なく『密集』という言葉を使いましたが、ここでは『ラック』『モール』に加えて、『成立したタックル』のことを指していると考えてください。 念のため、これらの説明を簡単にしておきましょう。 『ラック』というのは下に落ちている(誰も持っていない)ボールを複数(敵味方1人ずつ以上)で取り合う行為(ラックの中にあるボールは手で扱えないので相手を押してボールを自陣側に引き込みます)、『モール』はボールを持っている人に対してさらに敵味方1人ずつ以上(計3人以上)が密着して押し合う行為、『成立したタックル』というのは、ボールを持った人がタックルされて倒れた(膝をついても倒れたものと見なされます)状態(タックルされた人はすみやかにボールを離さなければなりません)です。 さて、これら密集でのオフサイドですが、よくなされる表現は「密集に横から入った」というものです。つまり、密集が形成されて、それに参加したりボールを奪いに行ったりする場合、『密集の横から入ろうとするとオフサイドになる』のです。では、どこから入らなければいけないのでしょうか。横がダメなら前か後ろしかありません。前は敵陣側ですから明らかにオフサイド。後ろすなわち自陣側からしか参加できないのです。 ルールブック的にはこういった考え方をします 『密集』をすっぽりと囲む四角形を考えます。その四角形はタッチラインに平行な2辺とゴールラインに平行な2辺で作ります(タックルの場合は倒れている人たち全体を足先まですっぽりと囲むような四角形にします)。このとき、タッチラインに平行な2辺は壁と考え、ゴールラインに平行な2辺はゲートと考えて、選手はゲートからしか入れないので、壁から入るとオフサイドの反則になるのです。 定義としては明解なのですが、ちょっとわかりづらいでしょうか。これで理解できる方はいいのですが、よくわからないという方のために別の見方をご紹介します。それが『線が太くなる』という考え方です。 オフサイドに関わる『ラグビーの大原則』は、 ■ボールより前(敵陣側)にいる人はプレーをしてはいけない というものでした。 より正確に言うと『ボールを持っている人より前にいる人はプレーをしてはいけない』となり、その境界線はボールを持った人を通るゴールラインに平行な線となります。線より手前(自陣側)にいる人しかプレーできないというのがオフサイドのルールでしたね。 密集になった場合は、密集そのものを一かたまりと見なして考えます。密集全体がボールを持った一人の人と見なすわけです。そうしますと、密集全体を通る線が境界線になって、その手前(自陣側)にいる人しかプレーできないことになります。 このとき重要なのが、『線上は自陣ではない』ということです。だから、線の上(=密集の横)からプレーすると反則となるわけです。 難しくなってきましたか? では、今回は特別にまとめをしておきましょう。 ・密集になると密集全体を1人の人と見なして境界線が引かれる(線が太くなる)。 どうでしょうか。 難しいですが、ラグビーを見る上ではとても重要ですので、後でもう一度さらに詳しく触れる予定です。 |
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