ラグビーに興味があるけどあまり良く知らない、あるいはラグビーを全く知らない人に向けて、これだけは知っておきたいラグビー情報をシリーズでお届けします。
やったことのない人にはわかりづらいラグビーというゲームついて、ルール的な側面からのわかりやすい解説をコラム風にシリーズでお届けします。
■Vol.10 ラグビー雑学その2「ラグビーの起源」 今回はラグビーの起源についてです。 具体的に見てみましょう。 これには少し解説がいるでしょう。当時、英国のパブリックスクールでは、それぞれ学校ごとに独自のルールでフットボールを楽しんでいました。ラグビー校のフットボールにはラグビー校独自のルールがあったわけですが、その当時のラグビー校ルールではボールを手で扱うことは一瞬だけしか認められていませんでした。ボールを手で扱った場合は、後ろに下がるか、すぐにボールを置いて他のプレーヤーに任せるか、パントキックを蹴る以外、認められていなかったのです。 一部の方は「エリス少年が“サッカー”の試合中に手を使って相手ゴールにボールを運んだのがラグビーの始まり」だと勘違いしているようですが、この当時はまだサッカーという競技はありません。ちなみにサッカーという言い方は俗称で正しくは“アソシエーション(Association)式フットボール”と言います(しかも“サッカー”という名称は国際的にはごく限られた国でしか使われていません)。ばらばらだったフットボールのルールを統一しようということで1863年にアソシエーション(協会)ができ、そのアソシエーションが決めたルールに基づくフットボールという意味です。やがて、アソシエーション(Association)→アサッカー(Assoccer)→サッカー(Soccer)と略して言われるようになりました。 ただし、このエリス少年のエピソードが事実かどうかはかなり疑問が残ると言われています。その根拠としては、エリス少年がボールを手で前に運んだという事実を客観的に証明できる証拠がないこと、そして実際にルール変更がなされたのが、このハプニングの10年前後あとであることなどがあります。 言えることは、ラグビー校で行われていたフットボールで、当時は反則だった手を使ってボールを前に運ぶ行為をするものがいて、その後その行為が合法とされるに至ったということです。そのルールが現在のラグビーフットボールにつながっていくことになります。 ところで、フットボールそのものの起源はどうだったのでしょうか。前回述べたように、古代ローマでは戦場で敵の頭蓋骨を蹴り合っていたという記録もありますが、これはフットボールとは言えないかもしれません。 そうした魅力を引き継いで、各地で独自のルールのもと行われていたフットボール。手でボールを前に運ぶというルールに魅力を感じ、ラグビー校で整備されたラグビー校式フットボール。誰が最初かということはともかく、このラグビー校式フットボールの魅力を多くの人が認めたからこそ、現在まで存続し、人気を博しているのです。 |
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