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やったことのない人にはわかりづらいラグビーというゲームついて、ルール的な側面からのわかりやすい解説をコラム風にシリーズでお届けします。

■Vol.13 ラグビー雑学その5「ラグビーのポジション(2)」

 前回は、ラグビーのフィールドプレーヤー15人の各ポジションと、FW、HB、TB、FBの役割について概観しました。今回は、それぞれのポジションについてもう少し詳しく見ていきます。 各ポジション名の由来と主な役割について見ていきましょう。

 1番3番プロップ(PR)といいますが、これは「支柱」という意味です。文字通り、スクラムの支柱となります。スクラムでは、相手と直接押し合い、牽引と舵取りの役目を果たします。 ポジションを個別に見ていく際にも詳述しますが、実は1番(左)と3番(右)とでは、求められるスキルに違いがあります。

 2番フッカー(HO)。これは「フック(hook)=物を引っかける留め金」から来ています。日本語では「ホック」などと言う場合もあります。hookは動詞で使うと、「留め金状のもので引っかけて、物を引き寄せる」という意味になります。つまり、スクラムの中で足をフック状にして、ボールを引き寄せる人という意味でフッカーと呼ばれます。 フッカーの役割は、スクラムでのフッキングはもちろん、スクラム第1列(1番、2番、3番の3人)の真ん中にいますから、プロップ同様、相手と直接押し合い、牽引・舵取り役となります。また、最近のラグビーでは、ラインアウトのスローワー(ボールを投げ入れる人)となるケースが多いです。

 4番5番ロック(LO)。意味は「ロック(lock)=錠」です。「錠前」と言えばイメージしやすいでしょうか。フック状のものでガチャリとカギをかける、あの錠です。スクラム時に第1列をしっかりロックすることから、こう呼ばれています。 ロックの役割は、文字通り、スクラム時のロック、そして背の高いことを利用して、しばしばラインアウト及びキックオフでのキャッチャー(ジャンプをしてボールを取る人)になります。

 6番7番フランカー(FL)。「flank」とは「わき腹」「側面」「両翼」といった意味です。軍事用語で側兵や側面部隊のことをフランカーと言いますが、まさにスクラムの側面部隊なのです。 フランカーの役割は、スクラム時の側面防御や、機敏に動ける特性(前5人に比べてスクラムから離れやすい)を活かしての攻撃などです。特にフィールドプレーでは、強さと速さ(重量感と機敏性)をバランスよく使いこなすことを要求されます。

 8番no.8(ナンバーエイト)。前から8番目という意味で名付けられています。ここだけ他と異質な名前ですが、以前(40年ほど前まで)にはなかったポジションだからのようです。以前は6番、7番、8番をまとめて「バックロー」と呼び、その真ん中は「バックローセンター」と呼ばれていました。もともと7番と8番の背番号は逆だったのですが、それを現在のように改めた際に「ナンバーエイト」という呼び名になりました。

 以上がFWのポジションです。この8人でスクラムを組みます。「ラグビーはスクラムだ!」と言い続けている清宮克幸監督ですが、そうだとすればこの8人のスキルこそが、チームスキルを直接左右すると言えそうです。 なお、PRとHOを第1列、LOを第2列、FLとNo.8を第3列と言います。これに従うと、スクラムの編成は第1列がいて、それを後ろから第2列が押し、さらにその後ろから第3列が押している(3−2−3と組んでいる)かのように思えますが、実際はそうではありません。FLはLOの後ろではなく、ほとんど横に位置しています。その後ろにNo.8がひとりいる(3−4−1と組んでいる)という編成なのです(「バックローセンター」から「No.8」への名称変更もこの「3−2−3」から「3−4−1」への変化によるものと言われています)。

 次にバックスのポジションを見ていきましょう。まずはHBから。

 9番スクラムハーフ(SH)です。スクラムのところにいるハーフバックスなので、こう呼ばれます。
 役割は、スクラムから出たボールを扱う、ラックやモールから出たボールを扱うというものです。密集から出たボールを(原則として)最初に扱うのがスクラムハーフです。密集からボールが出た瞬間に、相手はそのボール目がけて突進してきますから、パスをするにしても、キックをするにしても、自ら走るにしても、判断力と俊敏性が要求されます。

 10番スタンドオフ(SO)。「スタンドオフハーフ」が短くなったもので、スクラムから離れて立っているハーフバックスという意味です。
 役割は、バックスにおける攻撃の要、ラグビーにおける司令塔です。スクラムハーフはボールを持っても時間的余裕がありませんが、スタンドオフは相手の陣形などもしっかり把握することができます。そうした総合的な状況を見定めて、攻撃を仕掛けることになります。
 このポジションには、「フライハーフ」「ファイブエイス」「ファーストファイブエイス」など、国によってさまざまな呼び名があります。フライハーフとは、よくキックをするポジションなのでこう呼ばれます。ボールをflyさせるハーフバックスという意味です。「ファイブエイス」は「five−eighths」つまり5/8(8分の5)という意味。これは第1列、第2列……という言い方をバックスにまで伸ばし、FBを8列目と数えたときの5列目に当たることから名付けられています(SHを第4列、SOは第5列、CTBとWTBが第6列、現在のラグビーでは第7列に相当するポジションはなく、FBが第8列)。また、「ファーストファイブエイス」は、5列目の最初という意味です。この言い方をした場合、12番は「セカンドファイブエイス」と呼ばれます(第5列が2人になるわけです)。

 11番、14番ウイング(WTB=ウイングスリークオーターバックス)です。「翼」の意味です。一番外側に位置しています。基本的にここより外側には人はいないわけですから、ウイングの役割は、快足を飛ばしてトライを取りにいくということになります。もっとも、これは基本型、理想型であり、そんなに簡単にトライが取れるわけではありません。

 12番、13番センター(CTB=センタースリークオーターバックス)です。スリークオーターバックスの真ん中にいるので、こう呼ばれます。
 センターの役割は、SOから受けたボールをできるだけ相手を引きつけて、味方にパスすることです。バックスにボールを回した場合、1次攻撃(スクラムやラインアウトのようにゲームが一度止まってから再開する攻撃のうちの最初のプレー)ではたいていCTBのところで一度相手に捕まり、ポイント(密集、たいていの場合ラック)ができます。俊敏さとともに、当たり強さも要求されるポジションです。
 12番はインサイドセンター、13番はアウトサイドセンターと呼ばれます。SOからボールをもらうのがインサイドセンター、インサイドセンターからボールをもらうのがアウトサイドセンターです。前述のように、12番がセカンドファイブエイスと呼ばれることがありますが、これは12番と10番の役割が似ていることを示唆していて、おもしろいですね。

 最後に15番フルバック(FB)。フル(full)は完全、全部、満ちているの意味。8列あるうちの8列目、つまり8/8=1で、fullというわけです。
 フルバックの役割は、前回も述べたとおり、守備の最後の砦でもあり、攻撃の秘密兵器でもあります。

 今回は、ラグビーのポジションについて、前回よりも少し詳しく見てみました。いよいよ次回から、スペシャリストのコメントを交えながら、各ポジションについて解説していきます。そのポジションの役割、魅力、ここを見てほしいなど、初心者がちょっとだけ"通"に近づくための記事にしたいと思いますので、お楽しみに。

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